「天空の城ラピュタ」の主題歌を歌っていた頃

ラピュタに限らずジブリ作品全般において、ストーリーのあらすじをよく知りません。幾度となく金曜ロードショーなんかで放送されているのに、どんな物語か説明しろと言われると何も言えなくなってしまいます。

「親方、空から女の子が」「ラピュタは本当にあったんだ」「人がごみのようだ」「バルス」「目が、目があー」という台詞だけは覚えていて、女の子がシータという名前なのはわかるけれど男の子の名前何だっけと思い出せなかったりするのです。何故だか「未来少年コナン」を思い出します。

バルス祭りのことはよくわからずじまい。

 

ラピュタのエンディングを聴くたび、中学校の合唱部のことを思い出します。

中1の秋から不登校になったので、半年くらいしか活動していなかったけれど、NHKの合唱コンクールにも出ました。夏のコンクールが終わった後、「カントリーロード」や「君をのせて」の練習をしている最中に学校に行かなくなったことを記憶しています。もう10年以上前のことなので記憶も曖昧ですが、ともかく「君をのせて」を聴くと自動的に合唱部で歌っていた時のことが頭に浮かぶのです。メゾソプラノで、いつもソプラノかアルトに音程を引きずられていた気がするけれどこれも記憶の捏造かもしれません。

不登校だった頃、歌を聞くたびに居場所だったはずの合唱部にもう行けないことを思い出して苦しい気持ちに見舞われていました。世の中の普通の生活から外れてしまった自分はもうだめなのだと諦めていて、暗い感情に支配されていたことは確かですが毎日どうやって過ごしていたのかあまり記憶に残っていません。上向きの感情を何かに根こそぎ持っていかれそうで、いつまでもひとりぼっちなのだと閉じこもっていた中学校の3年間。同じ中学の誰も受験しなかった少し遠くの高校へ進学後、中学校の頃のことなんて闇に葬り去りたいと思っていました。

今は「君をのせて」を聴きながら素直に曲を楽しみつつ、幼くて愚かでどうしようもなかった昔の自分を見ていられるようになったのだなと気づきました。ラピュタのストーリーの筋もやっとわかったし、テレビに合わせて歌を口ずさんでも誰にも文句は言われない、年を重ねて少し胸の奥のひっかかりが取れた気がします。

今後もラピュタを観るたびに過去の自分を思い出すのだろうけれど、だめなりに生きて年をとってきて、あの頃をわずかでも受け入れていきたいと思うのです。たぶん今の私は、足踏みをして留まるよりは前へ進んだ方がいいだろうから。