プラネタリウムへ行った時のこと

先日15年ぶりくらいにプラネタリウムへ行った。

児童向けの科学館と併設になっていて、最後に訪れた時と建物の様相も展示物も変わりなかった。有志の方が撮影した天体写真が最近のものになっているくらいで、宇宙開発に関する年表は1992年くらいから更新されていないし、パソコンコーナーは灰色の箱型のモニターが現役で活躍している。惑星の説明のところでは冥王星のイラストが描いてある部分に、平成18年8月24日に冥王星は惑星から除外されたと黄色いテプラが張ってあった。夏休みのはずだが子どもの姿は少なく、展示物がみんな埃をかぶってしまいそうであった。

 

プラネタリウムが開場するとどこからか家族連れがぞろぞろやってきて、半分くらい座席が埋まった。ひとりで来ている暇そうな客は私ひとりであった。

投影が始まると、係員のお姉さんが画面の方角や当日の日の入りから説明してくれる。ペルセウス流星群のピークを迎えようとしていた時期だったので、流星群の観測について話が聞けるかと思っていたが、火星と土星とアンタレスが接近して三角形をとっている方の説明に3割くらい取られたように思う。夏の大三角形についても星座というよりほとんど1等星についての説明だったし、毎回説明されていた(と記憶している)北極星の見つけ方については全く出てこなかった。火星とアンタレスの接近が一番のニュースだったからそこに注力された結果だと思う。

2016年8月 火星とアンタレスが大接近 - アストロアーツ

前半20分で当日の星空の説明があって、後半25分くらいは宇宙に関する教育番組が投影された。天井のドームいっぱいに映し出されるので、映画よりも広い画面で立派な星空の映像を見られる。実際の空に比べたら所詮建物内のささやかなスクリーンに映し出されるにせものの星たちだが、空を見上げても残念ながら星なんて見えやしないのである。港があり、工場があり、山が連なっているこの地域はいろいろなものが星空を遮る。夜中でも街の灯りは消えないし、地平線も水平線も見えない。

満天の星空が見られたらそれは美しいだろうが、たとえにせものでも本当の星空を再現しようとするプラネタリウムの天井が好きだ。

 

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プラネタリウムの投影機を見るたびに蟻みたいだと思ってしまう。こんな大きなものがくるくる回りながら天井いっぱいに星空を映してくれるのだと思うと、なでさすってやりたいような気持ちになる。