『描く!』マンガ展に行ってきました

北九州市マンガミュージアムの『描く!』マンガ展へ行ってきました。

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手塚治虫や石ノ森章太郎、赤塚不二夫、水野英子などの作品展示に始まり赤本・貸本の変遷や同人誌の歴史にも少し触れられていて、昭和の漫画をあまり知らず同人誌にも縁遠い私にはためになる展示でもありました。

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写真撮影OKなコーナーがとても多かったのがすごいところです。

第2部として、さいとう・たかを、竹宮惠子、陸奥A子、諸星大二郎、島本和彦、平野耕太、あずまきよひこ、PEACH-PITの作品展示がありました。

壁一面に『ゴルゴ13』のコミックスと複製原画が飾られています。

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ゴルゴだけではなく『無用ノ介』の原稿も結構ありました。原稿は縮小印刷した方がきれいに見えるといいますが、原寸サイズの方が迫力が伝わってくるようです。

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気になっていた竹宮惠子の複製原画も。数年前に『風と木の詩』を初めて読んだ時、結構な衝撃を受けたのですが、この話リアルタイムで読んでいた方はどんな思いでいらしたのかとても気になります……。『ベルサイユのばら』を読んだ時も思ったのですが、昭和の少女漫画の週刊連載はちょっと毎週の衝撃が強すぎやしないかと思うのです。こんなの読んでたら男子と気軽に遊べなくなってしまいそうです。

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カラーイラストも華やかでした。欲を言えば、作品説明に使っている画材を加えてほしかったです。どうやって塗ってるのこれ?というくらいキラキラしてます。

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陸奥A子作品は初めて見たのですが均一な線のふわふわした絵柄で、柔らかい空気感が伝わってくる原稿でした。春頃に陸奥A子の企画展があるそうなので、行ってみようと思います。

諸星大二郎の展示は鬼気迫るものがあって正直見てまわるのが怖かったです……。もともと絵が怖いと思って敬遠していたのですが、題材にはすごく惹かれたので読みたくなりました。夜にひとりで読んだらいけない怖さでしたけど、読みたい。

中でも筋だって展示されていたのが島本和彦作品でした。愛用の道具も展示されています。 

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熱血漫画家十訓が掲げられた一角には、それぞれに応じた原稿が配置されていました。

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暑苦しいくらいの展示物を抜けた後、平野耕太の展示でクールダウン。書き込みが本当に美しかった。

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あずまきよひこの『よつばと!』は作中に登場したぬいぐるみやコーヒーミルなどと原画が一緒に展示されていて、デフォルメとリアリティの対比が面白かったです。

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PEACH-PIT作品は青年向けのイメージだったのですが、近年は少女漫画も連載していたので、企画展のためのメイキング映像も流れていました。2人組の漫画家さんなので、キャラクターも分担して描いているそうです。

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スーパードルフィーになったキャラクターも。

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コミケカタログや少女雑誌の付録の展示もありました。付録のテンプレート、どうやって使うんだろう……。

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キャラクターやストーリーを考えて、ネームを書いて、原稿用紙に枠線を引いて下書きしてペン入れしたらベタやホワイトやスクリーントーン処理して、と漫画にはいくつもの工程が必要とされます。こんな面倒な手順を踏まなくても、絵は1枚のイラストにしてもいいしストーリーは文章にしてもいいのかもしれません。

それを、わざわざ道具や時間や技術を駆使して面倒な手順を踏むのは、漫画の一読者として自分も好きなものを漫画で表現したいと思うからではないでしょうか。漫画の描き手もまた読者であり、描き手の作品を読んだ読者が未来の描き手になっていく連鎖が続いて今日の漫画が生まれてきているのだと感じました。

展示されていた作品は流通している漫画のほんの一部でしかなくて、一生かけても読み切れないほどの漫画が世界にはあふれています。それだけ多くの表現が生み出されているのなら、自分も表現することに対して多少貪欲であってもいいのかもしれないと思いました。