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きらきらしてるとひねくれる

創作

帰り道も立ち並ぶお店も、すっかりきらきらしている。あちこちに電飾が取り付けられて夜道が明るい。いつもの橋にはアーチが設置されて、まぶしいくらいの光を浴びながら向こう岸へ渡る。でも、イルミネーションなんておしゃれな風を装って、毎年同じものを使いまわしているのもわかっている。これがなくなったらどれくらい節電になるんだろうとひねくれたことも考えながら、きらきらして浮かれた街中を歩いていく。

買い物に立ち寄ったショッピングモールも、大きな会員制スーパーも、海外ブランドの家具屋さんも、どこもかしこもきらきらしている。かがやく電飾のように、普段は手に入らないものやなんだかいいねと感じさせるものがずらりと並んで、こういうの素敵でしょ、といってくる。たくさんいる家族連れやカップルはきらきらした景色の一部になって、ますます辺りはかがやきを増す。きらきらした場所やものは素敵。そういうものに囲まれるのは素敵。誰かと一緒にそんな場所で過ごすのは素敵。

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ひとりでそんな所にいる自分はずいぶん場違いな気がして、何とか周りのみんなのようにきらきらしたものを手に入れようとするけれどしっくりこない。みんながいいと言ってるからって自分にとってもいいとは限らないのはわかっている。素敵なものを手に入れてみようと手を伸ばした瞬間、スーパーの特売のことが頭をよぎってしまう。どうしてきらきらしたものを欲してしまうのだろうか。どうしてみんなに迎合しようとしてしまうのだろうか。そしてだいたい、そんな風にあくせくするとうまくいかないのはどうしてだろうか。

きらきらに囲まれたお店を出て、きらきらかがやく橋から元の岸に戻っていく。素敵なものを身につけて素敵な荷物をぶら下げたひとたちがひしめく街に、手ぶらの自分は物足りない姿でひそんでいる。楽しげな集団を足早に追い越して、ろくに電飾も見ずひたすら歩く。ひとりでもいい、きらきらしていなくてもいい。朝には白くて不格好な電球のかたまりになるたくさんの飾りたちを、まやかし呼ばわりして明日の朝焼けのことを考えた。