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短編小説の集い 第15回感想

短編小説の集い「のべらっくす」

参加させていただきました、短編小説の集い第15回、拝見した作品の感想です。とりまとめ記事におまけとしてもう1作言及されていたので、あわせて書かせていただきます。 

novelcluster.hatenablog.jp

 

diary.sweetberry.jp

推理物というのは事件解決のために必ず過去の出来事を調査するのですから、今回のテーマに寄せやすい題材ですね。精神科医というポジションもうまく使われていて、捜査上の証拠からではなく関係者の素振りから推理したという面白さがあったと思います。

文字数制限があるので展開が駆け足になりがちなのは否めないと思いますが、読んでいてノベルゲームをプレイしている感覚がありました。

強そうだけれどヘタレな刑事と、きっと常に白衣を着ているクールな女医のコンビがいいですね。葉加瀬は過去のことなんて引きずらないタイプなんでしょう。捜査部分をもっとまとめてしまって、鬼塚の激しいアクションや葉加瀬の鋭い推理が前面に出たストーリーも読んでみたいです。

 

masarin-m.hatenablog.com

こちらは素人探偵ですが、やはり推理物の色合いが強い作品だと思いました。ロックカフェに行ったことがないので想像の域を出ませんが、従業員控え室もホールも何やらアンダーグラウンド感が漂っていて、「ボク」の及び腰な態度との落差が面白かったです。

ケイの過去が後半駆け足で語られていたことと「ボク」の想像で説明されていた部分があったので、シホとケイの対決の場面や他の従業員との会話でみせるのもよかったのではと思いました。

作中で流れていた「love never felt so good」をYoutubeで観てみたのですが、店長に巡り合ったケイの心情を表すようで、シホに向けられた憎しみをより感じました。ビールの描写もですが、その場のものを詳しく書くことでリアリティを感じさせる文章だったと思います。 

 

nogreenplace.hateblo.jp

ニノマエハジメという名前の通り、先頭をゆく男なのかと思いきや、やはり彼も先輩の背中を追っていた「後から来る男」だったのですね。過去が未来に繰り返されていく様は皮肉にも思えますが、リレーのバトンを渡すように誰かから受け取ったものを誰かに渡すことで成り立つものはたくさんあるのでしょう。

継野にとって過去となったニノマエですが、継野もまた後から来る男に追い越され、過去になっていくのでしょうか。いつの間にか誰かに追い越され、振り返れば自分の姿が見える、そんな繰り返しに少しぞっとさせられました。

 

hayami-toyuki.hatenablog.com

現在と過去を行ったり来たりしながら、最後は過去に戻って、体験していたはずの現在は何だったのかと奇妙な感覚に陥る話でした。主人公は、何となく生きていて何となく死にたいという、思春期の感覚を引きずったまま大人になってしまった人物であることがうかがえます。死を考えていた主人公が親友に手を引かれて自分だけが助かると思っていた根拠が読みとけなかったのですが、過去を糧にできず、女子高生のまま時が止まってしまったかのような人生を10分に凝縮されてしまったラストが印象的でした。

 

私は今回の参加が2回目となりますが、投稿作が少なかったのですね。こちらの企画を初めて知った時、ブログに創作を書くという考えがなかったのでとても新鮮に映りました。もっといろいろな方の物語が読みたいですし、自分の表現の幅を広げられたらと思っています。 

明日の私にとって今日の私は過去の私になってしまうのだと思うと、やはり毎日を大切に暮らしたいと思って今回の参加作品を書きました。ただ、その時の気分や思いつきで書いているので推敲が足りないです。他の投稿作に比べて文字数も少ない方なので、構成を考えながらもう少し内容を膨らませることを意識しようと思います。

 

余談ですが、家族が偏食なこともあり、実家ではおせちらしいメニューがお正月に出てくることはほとんどなかったので、重箱入りのおせち料理は憧れでした。ひとり暮らしを始めてからは自分で自分のためにおせちを作っています。しかしながら私が出て行った後、実家では立派な重箱入りおせちを注文していたようでたいへん口惜しゅうございました。