いい加減さと丁寧さをイギリスに学びたい

英語なんて全くしゃべれないのですが、イギリスへ行ってみたいのです。

Googleで「イギリス」と打ち込むと「イギリス料理」と検索候補に即出てくるくらい、食事に関する評判が尽きぬ国ですが、アフタヌーンティーはイギリスの右に出るものはないのではと思っています。

コッツウォルズでティールーム―イギリスのお菓子に出合う

コッツウォルズでティールーム―イギリスのお菓子に出合う

 

コッツウォルズのウィンチカムという土地で、ティールームを開いている著者のイギリスでの生活やお菓子のレシピが紹介されている1冊です。

as like you(お好きなように)の文化

イギリス料理というと美味しくないという話題が多いイメージですが、ジャムタルト、ショートブレッド、ヴィクトリアサンドイッチケーキ、トライフルにレモンメレンゲパイ、アップルケーキ、スコーンと、載っているお菓子はとにかく美味しそうです。しかも材料を混ぜて焼くだけといった手順のメニューが多いので、自分でも作れそうな気分にさせてくれます。素朴で簡単で美味しい料理というのはかなり魅力的です。

お菓子は美味しそうなのに、食事は美味しくないとはどういうことかと思っていたのですが、どうやら料理に対する向き合い方が違うようでした。

大抵の場合、日本では調味した料理を食卓に出しますが、イギリスではレストランで注文した料理にも自分で塩胡椒をふりかけるなど、味付けは食べる当人がするのが慣習のになっているらしく、コルドンブルーで料理を学んだ著者としては釈然としない部分もあるそうです。 

ある時、母は塩加減のこつとやらをこんなふうに話しました。

「塩加減に迷ったらいつも少なめになさい。ちょうどいいなと思った一歩手前でやめるの。後でやり直しがきかなくなるよりずっといいのよ」

こんないい加減さ、に人はくつろぎを感じるのかもしれません。

料理は引き算ができないから、味付けは控えめにというのは確かにそうだと思うのですが、この場合は習慣の違いが大きいようです。素材の味を生かした調理方法を取っているから、味付けはご自由に、ということなのでしょう。

"as you like(お好きなように)"の文化がいかにも英国らしい、と著者は言います。

明日のための長期の計画を立てよ(Think of the long term plan for tomorrow)

そんな、よく言えば大らかな、しかしいい加減な一面がありながら、ティータイムを楽しんだり、ジャムをつくったりするイギリスの姿はとても丁寧です。

毎日のようにティールームへ通い、ゆっくりとお茶やお菓子をいただくことが日常の中にあるのは、うらやましく思います。手入れされた庭を眺めながら、美味しいお茶とホームメイドのお菓子に手作りのジャムを添えて過ごす昼下がりのなんと贅沢なことか。

冷蔵庫や冷凍庫のない時代、保存食は味や栄養価を損なわないままいかに長持ちさせるかという、生活の知恵から生まれたものですが、今も庭で育てたり農場へ摘みに行ったりした果物でジャムやジェリーを作る習慣は残っているようです。いい加減なところばかり目につくと思いきや、丁寧な手仕事はしっかりと守られています。

今日や明日をよく過ごすために、丁寧に準備をする。力の入れ方と抜き方のバランスが絶妙な暮らしかたではないかなと思います。

 

ゲストハウスやティールームを運営するのは簡単なことではないですが、慌ただしい毎日の中にゆったりとした独特の時間が流れているように感じました。実際にイギリスに行って体感したいものです……。

まずは紅茶のお店で、アフタヌーンティーから始めてみたいなあ。