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「トミーとタペンス」で思ったコンビものについて/アガサ・クリスティー『秘密機関』

NHKで「トミーとタペンス ―2人で探偵を―」が始まったので、ドラマを観る前に原作の『秘密機関』を読みました。 

秘密機関 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

秘密機関 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

小説とドラマの相違点

本作は、トミーという男性とタペンスという女性のコンビが素人探偵ながら国際的な事件を解決していくシリーズの1作目です。思いつきで何にでも首を突っ込むタペンスと、それを押し留めながらも自らも危険に飛び込むトミーが協力し合い、すれ違いながら真相に迫っていくスリリングな物語で、500ページ程ですが一気読みしました。

小説での時代設定は1920年代、ふたりとも20代で、自分たちの前途に不安を抱えた状態を打破すべく勢いに任せて危険に首を突っ込んでいくエネルギッシュな展開が垣間見えます。

一方ドラマでは、時代設定は1950年代になっており、既にふたりは結婚して子どももいました。小説とは異なり積極的に情報を集めるというよりは、身の回りで起こっている謎の関連性を調べていくうちに事件に巻き込まれていく展開に近かったです。

それにしても小説・ドラマどちらもタペンスの行動力には目を見張るものがあります。安楽椅子探偵の真逆を爆走している感じです。特に小説では貧乏という切羽詰まった状況に置かれていることもあり、お金に対する執着がものすごいです。

ミステリでのコンビについて

ドラマではトミーとタペンスは結婚していますが、小説ではふたりとも独身で「(金持ちと)結婚なんか無理」と冒頭から愚痴りあっています。物語が進むにつれて、自分やお互いの気持ちに気づき始めるのですが、黙々と事件の展開を追いたい一読者としては、ロマンスが結構邪魔に感じてしまうことがあるのです。

ホームズとワトソンのように同性コンビであれば、二人の関係性が事件の展開よりも前面に出てくることはほぼありませんが、どうしても男女コンビとなると事件を追いながらも、ふたりの行く末が物語のオチになることが多い気がしてなりません。ミステリの中に恋愛の要素を付与した作品と、恋愛物という一ジャンルにミステリ要素を加えた作品は全くの別物ですが、読者側からすると自分の興味のあるジャンルにより焦点をあてて読んでしまうものなのかなあとも思います。

『秘密機関』はスリリングな展開もありつつ、読後は明るくさわやかな物語だったので恋愛要素も含め楽しく読めたのですが、ドラマでは時間の制約もあることから恋愛エピソードを深堀しなくてもいいように、ふたりが結婚している時代設定にしているのかもしれませんね。

 

ドラマでは今後『NかMか』も放送予定だそうなので、こちらも放送前に読んでおきたいと思っています。たとえネタバレになろうとも、原作本があれば先に読んでおきたい欲が止まりません……。

NかMか (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

NかMか (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)