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大人の自分と、子供の自分/谷山浩子『真夜中の図書館』

読書

気力が湧かずベッドでぐったりと過ごすのは苦しいものです。本当は本を読む気にもなれないのだけれど、じっと横になっていても気が休まらない、そんな時に谷山浩子の『真夜中の図書館』を読みました。

真夜中の図書館

真夜中の図書館

 

子どもの頃の自分と一緒に読みたい

本書は童話や児童書を中心とした谷山浩子のエッセイ集です。紹介されているのは『月とあざらし(小川未明)』『星の王子さま(サン=テグジュペリ)』、グリム童話など、どこかさびしさや不条理さをはらんだ作品が多いです。

そこへ谷山浩子の解釈がついてきますが、今の自分が子どもの頃の自分に寄り添って読みたくなるような、あたたかく優しい書評だと思いました。

大人が童話や児童書を再読するというのは『図書館の主』(篠原ウミハル/芳文社)などでもありますが、その行為は子どもの頃読んでいたものを別の視点で見つめなおすだけではなくて、大人になった自分がどこかに潜んでいるあの頃の自分に、当時満たされなかったものを与えることでもあるのではないでしょうか。

夢を見るために夜眠る

書評ではありませんが、「夜型」というエッセイが最後に収録されています。谷山浩子は幼い頃から夜型だったそうで、今でも暗がりに心を惹かれるといいます。夜はうつ伏せになって、現実世界を背中に、下に夢をみながら眠るのだそうです。世界から1度目をそらして、夢を見せることで子どもの自分をなだめてあげるように。

大人で居続けなければならないと思い込み、私は心の中には子どもの自分が潜んでいることを忘れてしまっていました。現実をみて傷口に塩を塗り込む前に、眠る時くらいは子どもの頃の自分と一緒に、少しだけ夢を見ていてもいいかなと思いました。

 

本書はほとんど本に関する内容ですが「クーロンズ・ゲート」というゲームについてのエッセイもありました。私はゲームには暗いうえ、対応機種が初代プレイステーションのようなのでプレイするのは難しそうですが、すごく面白そうです。

様々な不思議な歌を歌い、エッセイを書き、時間を忘れてゲームをする谷山浩子というひとがやっぱり気になります。ぐったりと力の出ない時も読みやすい本ですが、いろいろと知りたい欲が出てきたおかげで調子も戻りそうです。